心療内科に通う
心療内科の予約。
わたしにとって唯一の外にでる理由だった。
でもこの外出がなかなか難しい。
予約時間に合わせて起きて、診察受けて薬もらってくる。
これが本当に一苦労なのだ。
それでも力を振り絞って診察に通っていた。
今でも鮮明に覚えているのは、診察の順番待ちの時間だ。
診察室の中には精神科医とカウンセラーが一人ずつ座っている。
診察室の前には名前を呼ばれるのを待つ患者がたくさん座っていた。ほとんどの人が誰とも会話を交わさずじっとただ俯いている。わたしもその一人だ。
わたしが通っていた心療内科は総合病院のなかにあった。だから、白衣を着た看護師や医師が目の前を行き交う。
みんな忙しそうにしてるなぁ。
ほんの少し前まで、わたしはあちら側の立場の人間だったのに。あの人たちは正常、わたしは異常。と、また今のじぶんを責めていた。
診察室の中では、お加減はどうですか?薬はのめていますか?と調子をきかれる。
うつだと診断されてからも、やっぱり自分はうつではないんじゃないかという葛藤もあり、薬を飲まない日もあった。
でも診察室中は、はやく仕事に戻りたいのにそれができない理由を話しては、号泣していた。
気持ちと行動が一致してなかったと思う。
だから自分がしてること全てに意味を見いだせず、生きてる意味がわからなくなっていた。
妹がまたわたしを心配して電話をくれる。
『おねぇちゃん大丈夫?食べてんの?』と。
この頃は、生きる気力がなくなるとお腹も空かなくなるのか、食べなくても全然平気だった。
気づくと体重も減り、顔がこけてた。
もともとは食べるの大好きだったのになぁ。。
妹が海外旅行に行こうと誘ってくれた。
「いや、無理だわぁ」と思った。
みんなに迷惑かけて仕事休んで、じぶんだけそんなことできない。
もし行ってるのが誰かに知れたら、どう思われるか。怖くていけない。
妹はそれでも食い下がらず、こんなチャンスはなかなか無いからとわたしを説得し続けた。
ダンナの理解もあり、ついに二人で出かけることを決意した。
行き先はバリ。
彼女の知り合いのツテで、急なことなのに安くで飛行機チケットを準備をしてくれた。
全部妹任せで、わたしはついて行くだけで精一杯。道中誰かに会わないかと、人の目を気にする。
この旅行から帰ってきて、家で写真を見返したときに、笑っている自分の画像をみて驚いた。
「え、わたし笑ってる!」
久しぶりに自然に笑顔でいた時間。
こんなの何ヶ月ぶりだろう。