助産師やめたくないけどやめたい
ある日は助産師をやめたいと言って、
そのまたある日は、助産師をやめたくない
と言う。
毎日コロコロ意見が変わった。
あの頃のわたしの気持ちを代弁すると、
「助産師の仕事は好きだ。でも今働いている病棟にいては怖くて頭がおかしくなりそうだ。」だ。
今のわたしなら、はいっ次いってみよー!
とすぐに転職を考えるだろう。
でもあの頃のわたしは、じぶんの見ている世界が全てだと思い込んでいた。
仕事も上司も家族も友達も、すべてがこれが永遠に続いていく存在であり、そんな困難に耐えられないじぶんに幸せなんてないと考えていたのだ。
ぐっと我慢すれば、幸せになれる。
という典型的な間違い。
じぶんだけが我慢すれば、物事はきっとうまくいくと、人はよく間違える。
でもそうでないパターンは多い。
やり方を間違えると、その我慢はただの独りよがりで、ただのスーパーナルシストさんなやり方でしかないのだ。
良かれと思ってやっていることが、ほとんど周りの人間に伝わっていなかった…と後からどんでん返しを喰らうハメになる。
ま、そこまで気づくにはわたしにはもう少し時間が必要でしたが。
心療内科に通いながら、長い時間をかけて悩み抜いた末、ついに今の職場をやめる気持ちがかたまってきた。
しかしこの頃、じぶんの意見を述べるのに相当自信をなくしていたわたしは、仕事をやめたい理由を上司に伝えなければならないという壁にぶち当たる。
今は職場復帰予定での休職中の身。
師長は時々、「体調はどうですか?」とメールをくれていた。思い返せば、わたしの重荷にならない程度に、心配しているよという配慮だったんだと思う。
でもあの頃は、そのメールさえも、「まだ職場復帰できないの?」という催促のように思えたものだ。
だから、どうやって退職と言い出そうか。
どうやって納得させようか。
どうすれば、できる限り迷惑をかけずに辞められるだろうか。
考えただけでゲロが出そうで、また考えがまとまらなかった…という日を何日も過ごした。
そうこうしているうちに、師長からメールがくる。「体調が良さそうな時でいいから、看護部長とお話しする時間はとれる?その前にわたしとお話しする時間をとれたらいいなと思っています。」
ついにきた。もぅ逃げられない。
きっと看護部長に会う前に説得されるんだ、もぅ少し仕事続けてみますって言わされるんだ。
もぅしんどいって言いながら、働きつづけて潰れた友人も見てきた。
でもあの職場で助産師はしたくない。。。
メールの返信内容を考えるのも一苦労。
文字を打っては消し、打っては消し。
出来たら、ダンナさんにチェックしてもらう。
「それでいいんじゃない?」と言われても、本当にこれでいいのかなぁ?とまた打ち直す。
ほんの3行ほどのメールを。
そしてついに看護師長と看護部長に会う日が設定された。
ちなみに休職中、わたしは同じ病棟のスタッフの誰とも連絡をとらず、つまり誰にも相談をせずに退職の意を固めつつあった。